脳の伝達回路に難を持つADHDの子供達は、他の子達が難なくやってしまう頭の中の処理にかなりの時間と労力がかかってしまうため、疲労度は常に高く、その疲労の積み重ねで午後からのパフォーマンスの低下が早く、もともと弱い自己コントロールもだんだん効かなくなり、悪い状態になってしまいます。その悪い状態になってしまう背景を知らない大人達からの注意を浴びることで、本人の状態は更に悪化するばかり….
この負のループを断ち切るには、そもそもの原因を取り除けばいいのですが、
原因である “脳の伝達回路の難”
この根本原因を簡単に取り除くことができない….
だからこの子達は困っている...
ここで重要なのは、この子達も好きで荒れたり悪い状態になっているわけではないということ。本当は物分かりのいい自分でいたい。自分のことを好きだと思える自分でいたいのに、疲れ切った脳と体では自己コントロールが効かず、荒れてしまう。荒れて皆を困らせてしまう大嫌いな自分になってしまっていることに、本人自身が更に怒っている・・・
癇癪は自分自身に怒っているのです。
将に負のループの連鎖が起こってしまってるというこに、一番身近にいる私達親がいつ気付いてあげれるかが非常に大事だと思います。
そんな私達親や理解のある担任の先生・主治医にしかできないことがあります
お薬を使って、脳の伝達回路の状態をすこしでもいい状態に保つ
これまで、夕方状態が悪くなる息子くんの抱える背景をここまで綿密に理解しきれていなかった私は、どうしたもんかと毎回悩み、自分にも余裕がある時は優しく対応が出来る時もありましたが、同じく夕方疲れ気味の私は、見当違いな理解の言葉をかけながらなんとかおさめようと対応していたり、時には怒ってしまったり、本人が荒れることで疲れ果て落ち着くまでほっておくようなこともありました。
その荒れた状態をどう対応するかに正しい答えはなく、根本原因を断ち切ることもできない...
3歳1ヶ月の頃から息子くんのことをずっと診て頂いている主治医から、段階的に年齢的に使える優しいめのお薬を処方してもらってきましたが、幼児期とにかく大変だった癇癪を抑えるために必要なんだという程度の認識で、お薬を服用してきました。子供の成長と共に、直面する問題もどんどん変化し、私もより明確にいろいろな理解が深まる中、今ではお薬への認識がすっかり変わってきています。
脳の伝達回路の状態を少しでもいい状態にするために、医師が投薬が必要だと判断された場合、親としては抵抗感があるかもしれませんが、投薬なしで脳の伝達回路に難があるままだと、本人の困りごとがどれだけ増えるのかを冷静にイメージし理解することで、投薬の提案に冷静に耳を傾けれるかもしれません。
そしてお薬のことを、自分なりにでも調べて理解した上で、主治医とよく相談して、分かりづらいことはしっかり聞いた上で、服用を決めることをおすすめします。
服用することで、根本原因を断ち切ることはできなくても、原因そのものに直接アプローチして改善しようとしてくれるのはお薬だけなので、その効果は大きいものだと感じます。
ただ、どんなお薬もですが、服用の目的をはっきりさせ、どこまで改善したら服用をやめるかを明確にしえおくことがとても大切だと思います。
何故ここまで協調するかというと、私自身がお薬に関して余りにも知識・意識レベルが低かったなとつい最近反省したところだからです。大事なのは私自身が服用するお薬ではないということです。まだ選択権のない、まだ判断出来ない、息子くんの代わりを務めているんだということを忘れてはいけないです。将来息子くんが自分なりに自分の抱える問題を理解し、お薬のことを考えられるようになった時、過ぎ去ってしまった幼児期の服用についてどう理解し判断するかはわかりません。ただ、息子くんがお薬のことを質問してきた時に、当時本人の代わりに判断した親として、ただ「主治医が決めたから」ではなく、親としてどう考えたかを伝えてあげれるようにしておかないといけないと思います。
今、沢山の経験者達がネット上で経験を語ってくれてます。医療に関わる専門の方々が知識を公開してくれています。主治医からの言葉しか情報がなかった頃とは違って、沢山の情報を自分次第で知ることができる時代です。正しい情報だけが目に入るわけではありませんが、少なくとも主治医に疑問に思ったことを質問できるくらいの情報は得られます。
大切な我が子の代わりに判断していかなければならないこと、子育てにはつきものですが、ADHDやASDなどを抱えたお子様の子育て中には、その判断が普通より多いし、より早く判断していく必要があるように思います。その中の一つである「服用の判断」将来の息子くんからの質問にちゃんと答えてあげれるように準備しておきたいものですね。
疲れやすくなっている状況を見直し、改善する。
一番身近で接している親の私が、なんとなく作ってしまってる息子くんの状況へのてこ入れです。
小学校1年生の頃、学校からの帰宅後、漢字ドリルの宿題がなかなか終わらいことで、途中から泣き出すことがよくありました。算数の文章問題が分からず、「お母さん一緒にやろう」と誘われた私が、息子くんが理解出来ていない部分を教えてあげただけで、自分を否定されたように感じてしまう息子くんは泣き崩れて別の部屋に閉じこもり、しばらく出てこないこともしばしばありました。
1年が過ぎ、理解力や語彙が増えたことで、「ここが分からない」など、自分から大人に伝えられるようになり、分からないことがある自分を受け入れられるようになり、“なんでこんなことで泣き崩れるのだ⁈”というようなタイミングで爆発することはめっきり無くなりなしたが、
補足の勉強をさせたい母が、もう少しお勉強をさせようとすると、宿題をするだけでやっとの息子くんの目にはもう力が無く、
“もうすぐ電池切れちゃうから早くテレビとお菓子タイムに開放してくれ~” ….と
その子その子に見合った勉強内容と勉強量というものがありますが、
ADHDの子達にとってはもう1つ大事なポイントがあることに気づきました。
ADHDの子に適した勉強時間は、帰宅後の夕方ではなく、朝なのじゃないかと….
“脳の伝達回路の難”を抱えながら朝からずっと頑張て授業を受けているADHD君達にとって、午後以降は疲労が溜まり、夕方なんて電池切れ寸前なのだなと….
まだ語彙が少なく、出来ないことへの折り合いも身についていない1年生の頃、疲れが溜まった夕方に宿題をすることがどれだけ大変で、かつ精神的に崩れやすい状態だったのかと、今振り返ると、1年前泣き暴れていた息子くんへの理解が深まります。
2年生になり、崩れることなく宿題が出来るようになっただけでも、息子くんは確実に成長している。
補足の勉強をするのは、電池切れの夕方ではなく、
朝起きてからだらだらとテレビを見ながら着替えが進まないあの時間にするべきだなと….
朝のだらだらテレビはしょうがないと思っていましたが、夕方は脳がかなり疲労していることに気づけたことで、脳がしっかり休んだ後の朝の時間がADHDさん達にとってどれほど大事なものなかということに気づくことが出来ました。
その子その子に見合った“勉強内容” “勉強量” “勉強する時間” これらが適しているかの見直しは、身近でサポートするお母さんにしか出来ないことです。
子供の成長と共に都度見直ししていく必要がありますね。
朝の時間の過ごし方を改善した記事を別で載せる予定です。
疲れやすくなっている環境を見直し、改善する。
“脳の伝達回路の難” による疲労を日々抱えているADHDさん達。
親が考えつくようなことで解決できるようなことなんて実際何もありません。
だからこそ、他の要因で積み重なる“疲労”を少しでも減らすことは出来ないものかと考えてみました。
【学習環境の見直し】
〇体や目が疲れない環境を整える
姿勢が崩れやすいことで起こる疲れ → 姿勢が崩れにくい環境を作る
ex.姿勢矯正椅子
ex.傾斜天板
〇眼球運動が苦手な子への配慮
読み間違いをしやすい → 今読んでいる部分のみがわかるようにしてあげる。
ex.リーディングトラッカー(読書ガイド)などを利用する
書き写し時の目の動きによる疲労 → 視線を動かす距離を短くシンプルにする。
ex.書見台
ex.クリップアーム
〇注意散漫・音過敏などへの配慮
特性で気が散りやすい → 視覚に入るものをなるべく減らして集中できる環境をつくる
ex.好きなおもちゃなど目につかないようにする(箱、カーテン等)
ex.パーテーション
音過敏の子は雑音を拾いやすいため、その状態で一日中過ごすことは他の人の何倍も疲れる
→ 勉強時の雑音を除いて集中しやすくしてあげる
ex.イヤーマフ
〇見通しへの配慮
見通しがつかない不安からの疲れ → 学習時間の間に設ける休憩(楽しみ)の目途を明確にする
ex.視覚的にわかりやすいタイマー
【休憩・遊び環境の見直し】
〇テレビやYouTubeの時間の管理(必ずタイマーを付けて、だらだら見続けて疲れるのを予防する)
〇体を使う遊びの提案をする。
〇積極的に親が一緒に過ごしてあげることで、心の満足充実を満たしてあげる。
その他、五十音図や九九表はなるべく文字の大きいものを貼ってあげたり、リビング学習であれば、照度の確保を別で用意してあげたり、絵本などもなるべく大きい字のものを選んであげるなど、疲労につながりそうな環境を少しでも改善してあげることが、私達親にできることなのじゃないかと思います。
実際に取り入れた、環境改善アイテムを別記事に載せてあります。詳しくはそちらをご覧ください!